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制作の経過と協力

絵葉書のデジタル化に基づくデータバンクの作成の経過

2009年春に松江市の文化財課により約2000点に及ぶ今岡所蔵絵葉書のリスト作成が始められ、検討された絵葉書については劣化防止用の袋に保存されることになった。 その後、今岡によりさらに絵葉書資料の収集および多くの写真乾板が発見され、島根大学白潟サロンなどの協力もあって、収録すべき資料が飛躍的に増えた。

松江市によるリスト作成が事情により中断されているなかで、2009年7月には(有)今岡ガクブチ店による「しまね地域資源産業活性化基金助成金交付事業」の申請が採択され、島根大学白潟サロンにデータバンクの作成を依頼することにした。袋詰めされた絵葉書も含めて、2010年春までに今岡により収集・整理された絵葉書、ガラス乾板、冊子などについて白潟サロンの協力により調査を進め、絵葉書についてはデジタル化して保存、読み取れるデータを総合的に吟味してデータバンクの作成を行いました。

絵はがきについては、裏(画像部)のみでなく、表についてもデジタルデータ化した。表の罫線のないもの(最も古いタイプ)、あるものではその位置、および「郵便はがき」の標示の仕方で年代が特定できること、また、版元によってそれぞれ工夫がこらされていて、情報が多く得られることからである。

扱う地域についてはなるべく松江に限定することとし、出雲大社、美保関などの周辺地域については、今回は除外した。
今岡商店発行のものが主に収録されているが、それ以外の発行のものもかなり収録されている。

2000点に及ぶ全体のデータバンクでは、表面の検討から発行元がわかるもの、類似した印刷スタイルのものはなるべく順序立てて示している。【今岡のマークのあるもの、今岡のデザイン(Kの表示、パレット、鳥居)、大野写真館のT、Yのマークなど】

絵葉書はテーマ(地域・内容)によって20に分類して示した。
絵葉書の元となった写真乾板が見つかっているものについては、表示している。
今岡発行でセットものとして収蔵されたいたものについては、そのことがわかるように示した。

今岡が自宅に収蔵されていたものの他に、オークションにより収集したもの、収集家から譲り受けたもの、あるいは現物がなく、コピーによる収蔵しているものについてはリスト上で区別して示した。

今岡ガクブチ店の隣にある島根大学白潟サロンでの研究では、絵葉書データのデジタル化については伊藤孝一氏、時代区分・分類などの全体構成・検討については伊藤孝一氏・徳岡隆夫氏・飯野公央氏及び今岡が加わって作成したものです。

(有)今岡ガクブチ店 今岡弘延

 

松江絵葉書ミュージアムのスタートに寄せて

今岡ガクブチ店に、たくさんの昔の松江の絵葉書が陳列されているのを“発見”したのは、いまから3年ほど前、お隣の島根大学白潟サロンに常駐するようになった頃のことです。

嫁が島をとりまいて如泥石が整然と並んでいる絵葉書には、大変驚かされました。
当時から、白潟公民館を中心とて白潟地区の生い立ちや街の歴史の勉強が盛んにすすめられていて、宍道湖の湖岸には如泥石がたくさん転がっていたことはよく知られていましたが、これらがテトラポットとして使われていたものであることがはっきりしたのは、この絵葉書のおかげです。

その後、これらを広く市民に知ってもらうために、白潟サロンでは2008年1月に「昔の松江 絵葉書展」を、よく年にはその続きを、また、雑賀町の樋野俊晴さん所蔵の絵葉書展を行い、古い絵葉書から多くの貴重な情報が得られることを多くの方々に知ってもらうことができました。 それにつれて、多くの絵葉書や古い写真などがサロンや今岡さんのところにもちこまれるようにもなっていったのです。

白潟サロンには、さまざまな分野に造詣の深い方々がこられますので、これらの資料について、さまざまな意見をもらうことができます。また、絵葉書の元となった写真乾板の画像化や多量の絵葉書のデータ処理、多角的な検討を行うことができました。

今回、島根県の支援を得て、今岡さんのところにこのようなミュージアムが立ち上がることになったのは、大変良かったと思います。私どもも多少の貢献ができたことを喜んでいます。

昔の絵はがきは、歴史資料としてどこかに整理・保存すればそれでお終いといったものではありません。
利用されてこその絵葉書です。
今回のデータのまとめの後にも、多くの、貴重な絵葉書が今岡さんの所に集まってきているとのことです。
今後のミュージアムの一層の充実を期待しています。

2010年6月 島根大学白潟サロン(島根大学名誉教授) 徳岡隆夫

 

松江絵葉書ミュージアムの発足にあたって

松江とはこんなにも自然豊かで、情緒のある街であったのか。

戦後生まれの小生でも明治・大正・昭和初期の松江絵葉書に何か懐かしい思いを抱く研究でした。
ほんの100年前のことなのですが、案外研究されてなく判らないことが多いのには驚きました。

今回、皆様のご協力により約2000種の絵葉書の中より200種程度を抜粋して解説文付きで御紹介できることになりました。昔の松江の情景を地元関係の方はもちろん全国の方々に見ていただければ幸いです。

子供たちにとっても昔を知ることが未来への架け橋になるでしょう。
まだ続々と新発見のものも出てきていますので、追加していければと考えています。
ご協力いただきました方々、団体に厚く御礼申し上げます。

(有)今岡ガクブチ店 今岡弘延

 

ご協力いただいた方々、団体 (順不同、敬称略)

島根県商工会連合会
島根県中小企業団体中央会
島根大学白潟サロン
白潟公民館
松江市立図書館
合同会社 だんだんまちづくり
天神町町内会

徳岡 隆夫   島根大学名誉教授
飯野 公央   島根大学准教授
大矢 幸雄   松江市立図書館長
高安 克己   島根大学名誉教授
伊藤 孝一   島根大学白潟サロン
樋野 俊晴   郷土史研究家
喜多村 理子   鳥取短期大学非常勤講師
安倍 登   松江郷土館館長
竹永 三男   島根大学教授
舩杉 力修   島根大学准教授
沼本 龍   松江市教育委員会文化財課
内田 文恵   松江市教育委員会文化財課
国井 加代子   古文書研究家
有馬 誉夫   ふるさと島根定住財団
森口 保   島根観光学会
大野 俊治   美保関中学教諭
小倉 加代子   島根大学白潟サロン
桑原 知佳   島根大学白潟サロン
井上 治夫
 
井上松影堂  
高橋 英二
 
天神町
長廻 和助
 
天神町
藤原 剛   アドバンスコム


   

参考文献

島根縣案内記   明治36年島根縣出品協会
島根縣遊覧案内   明治41年 天神町、川岡発行
島根縣産業案内   明治45年島根縣内務部
神国出雲案内   大正13年 愛隣社出版
松江市誌   昭和16年 松江市
山陰道商工便覧   だるま堂書店
松江八百八町町内物語   八百八町編纂協会
新聞に見る山陰の世相100年史   山陰中央新報社
島根県歴史大年表   郷土出版社
島根百年   毎日新聞社
松江余談   松江まちづくりプロジェクト
松江365日   森口保
島根県の百年   内藤正中
わが町の歴史   内藤正中
絵葉書百年   橋爪紳也
日本絵葉書カタログ   生田誠
絵葉書の歴史   細馬宏通
ふるさとの思い出写真集   島田成矩
松江城物語   島田成矩
雑賀の今昔   雑賀郷土史編纂実行委員会
島根の暦   NHK松江放送局
松江今昔   松江市
松江大橋物語   内田兼四郎
語りつぐ松江物語   立脇裕十